サイト内検索の利用率はリニューアル前の約1.8倍に増加
AIとChatGPTの活用により充実した住民サービスを提供
江戸川区役所
サイト内検索の利用率はリニューアル前の約1.8倍に増加
AIとChatGPTの活用により充実した住民サービスを提供
- 導入内容
- 江戸川区のWebサイトに、生成AIによる自動回答を付加したサイト内検索を実装。職員の業務負荷軽減と住民の利便性向上の両方を叶える「きちんと答えられる検索」が実現。
- ご利用サービス
- Cogmo Search、Cogmo Enterprise 生成AI
荒川、江戸川などの大河川や東京湾に囲まれた東京都江戸川区。緑豊かな水辺の都市として知られ、東京2020オリンピックではカヌー競技が開催されたことでも注目を集めました。江戸川区では令和5年に「江戸川区DX推進指針」を策定。令和13年の新庁舎移転に向けて「来庁しない窓口」を目指し、行政手続や相談業務のオンライン化に取り組まれています。令和6年2月にはサイトリニューアルを機に、AIサイト内検索にChatGPTを連携した「Cogmo Enterprise 生成AI」を導入いただきました。今回は、自治体WebサイトにAI検索を採用した想いや得られた成果、思いがけない変化などをお伺いしました。
ご担当者様
-
江戸川区
SDGs 推進部
広報課 区政案内係
飯島 健さま -
江戸川区
SDGs 推進部
広報課 区政案内係
齋野 理子さま
ユーザビリティ改善のためサイト内検索を刷新
江戸川区のサイトは約1万6,000ページにも及びます。その情報量の多さから、かねてより「欲しい情報になかなか辿り着けない」「探したい情報がヒットしない」というお声が多数寄せられていました。Webサイトは区役所の窓口と同じです。情報をきちんと伝え、住民からの依頼に応えるという本来の役割を果たせていない状況だったと言えます。そのような背景もあり、リニューアルにあたっては、「見やすく」「わかりやすく」「探しやすく」を軸にデザインとCMS、サイト内検索を刷新しました。
従来サイトのアクセスログを確認したところ、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから目的のページへ直接訪れる人は全体の約8割に上る一方、サイト内検索を利用する人も一定数いることが判明したのです。
「目的のページに辿り着いたが類似情報も見たい」「目的とは異なるページに辿り着いてしまった」という場合にもサイト内検索を使う傾向があると見て取れました。また従来のサイト内検索は文章検索に非対応でしたが、会話文で検索するユーザーも多く、当然目的ページに辿り着いていないことが見受けられました。これらの分析からサイト内検索の刷新は必要と判断しました。
サイト内検索は3つのサービスを比較検討
導入に際し、他の有償検索エンジン、Googleの検索エンジン、AI検索『Cogmo Search(コグモ・サーチ)』の3つを対象に、以下6項目について約3ヶ月かけて徹底比較しました。
- 反映のタイミング
- 検索結果の精度
- デザインのカスタマイズ
- チューニング
- アクセス分析とログ
- 機能拡張
その結果、職員、ユーザー双方にとってベストだったのが『Cogmo Search』でした。AI検索により職員の負担が軽減できること、操作性がわかりやすく誰でも使えること、多言語に対応することが決め手です。
またサイトに新たな価値を創出することにも私達はこだわり、その中で惹かれたのがChatGPTと連携し、検索の入力文に対して文章で回答を生成表示するという付加機能でした。ユーザー体験が向上するうえ、費用対効果に十分見合うと判断し、『Cogmo Enterprise生成AI』を導入するに至りました。
AI検索とChatGPTの回答精度の高さに驚かされた
サイトリニューアル自体は色々苦労があったものの、Cogmoの実装そのものはさほど負担を感じませんでした。強いて言うなら、AIに学習させる作業にやや時間がかかったかなという印象です。「検索入力文に対して、どのページを結果の上位に表示させるべきか」という判断は私たち職員にしかできないので当たり前のことなのですが…。
この上位表示ページの設定にあたっては、情報発信側である職員目線に偏らないよう、別業務を行う職員の意見も積極的に取り入れました。そうすることで、よりユーザー(住民)目線に近づけた設計を行えたと思います。
実際に運用を開始してみると、想像以上にAI検索精度とChatGPTの回答精度が高いことに驚かされました。
正直なところ、公開後はユーザーから「こんな精度の悪いものを入れるなんて」といったご意見をいただいてしまうのではないかと恐れてもいたのですが、そのような心配は杞憂に終わりました。公開直後は生成AIの補足回答に誤りが見られたものの、管理画面で簡単に修正できたので問題ありませんでした。Cogmoの管理画面の操作性がシンプルでわかりやすいことも良い点だと感じています。
また導入前から運用に至るまで、アイアクト様のレスポンスの早さやご支援内容が良かったのも印象的でした。打合せは短時間でかつ密度が濃く、互いのリソースを有効活用しましょうという姿勢がうかがえましたね。おかげさまで終始安心して進めることができました。
ユーザーの検索方法に多様な変化が見られた
導入後の利用状況を分析したところ、サイト内検索の利用率は従来の1.8倍と、実に倍近くまで増えたことがわかりました。また、1回目の質問入力で欲しい回答が得られなかった場合、ChatGPTが足りない要素を聞き返しますので、検索入力文を変えて再検索を試みるユーザーが多いことも読み取れました。そして、再検索後のページ到達率も2.8倍にアップしました。
さらに文章による検索や、キーワードを組み合わせた検索が増加していることも見て取れました。これらのユーザーの動きは、AI検索とChatGPTの精度の高さに加え、利用時の期待値の高さや満足度の高さも深く関係していると思います。
また多言語に対応したことで、外国語での検索も増え始めました。以前は外国人の方から「日本語以外でサイト内検索をしたい」というご意見を実際にいただいていたので、外国語でも文章生成して回答できるようになったことは価値のある刷新と捉えています。
AIサイト内検索は職員の業務でも活用されるように
自治体が何か新たな取り組みを行う際には、住民から「前の方が良かった」といった厳しいご意見が寄せられがちなのですが、今回はそのようなお声は届いていません。過去を振り返ってみても、これはとても珍しいことです。
またAIサイト内検索が、職員の業務でも活用されるようになったことは思いがけない変化でした。例えば、担当業務外のことに関する疑問点を、職員がサイト内検索で調べて確かめるケースも。綺麗にまとめられた文章が瞬時に表示されるため、複数資料を照会するより速やかに理解を深められたと聞きます。
また、Webサイトのアクセスデータから他自治体様のご利用も見て取れました。あくまでも憶測ですが、住民へ情報発信する時などにChatGPTによる補足回答を参考にされているのでは?と想像しております。
デジタルの力で課題を解決し、きめ細かな住民サービスの提供を目指す
行政のデジタル改革においては、住民が必要な情報にアクセスできる環境作りが重要と私達は考えています。その一環として、令和6年3月に本庁舎の入り口に「区政情報コーナー」を開設しました。来庁した人が自由に情報を検索できる専用タブレットを設置し、AI検索『Cogmo Search』が利用できるように実装しました。これはCogmoを導入したことがきっかけとなっています。
本体のWebサイトだけではなく、区議会と介護保険課が有する独自のサイトも横断検索で連携させ、『Cogmo Search』で包括的な検索が可能となっています。今後はさらに多くのサブサイト、サテライトサイトとの横断検索を展開し、住民サービスの向上を図っていく計画です。
現在、LINE公式アカウントでチャットボットを導入しているのですが、チャットボットのメンテナンス作業は、職員に大きな負荷がかかっている状況です。その解決策として、自動応答生成に値する『Cogmo Enterprise 生成AI』の活用を検討しています。これに関しても、ぜひまたアイアクト様から新たなアイデアをご提案いただきたいです。
今回の『Cogmo Enterprise 生成AI』導入に関しては、生成AIが文章を自動生成することの有益性と懸念事項、その対策を広報課とDX推進課の皆さまで入念に協議され、ユーザーの誤解を生まない見せ方の工夫等をされました。住民の利便性向上・職員の負担軽減の手応えを得られ、今後は更にCogmo活用を拡充、伸張されるご計画をお持ちです。江戸川区役所様が目指す行政のデジタル改革を、アイアクトも引き続きご支援してまいります。
※デジタル田園都市国家構想交付金の採択事例です
Webサイト:江戸川区役所公式サイト
製品情報:『Cogmo Enterprise 生成AI』