レガシーなエンタープライズサーチをAIによる検索でモダン検索に置き換えたりが増えてきました。この辺りは、Web制作などのフロントエンドのノウハウを持つ人材がチームにいると良いシステム開発・UI/UXができますね。
今回は、AI文書検索の「IBM Watson Discovery」と、Watson Discoveryを利用したサイト内検索・マニュアル検索・FAQ検索の「Cogmo Search(コグモ・サーチ)」を使えば、どんなことが実現できるのかを、例を交えて説明します。
エンタープライズサーチを超えた文書検索が可能な、IBM Watson Discoveryとはどういうものかは、以下の通りでした。
- 単語以外での自然文での検索ができる
- 検索順位を最適化できる(学習機能)
この基本機能を利用し、クローラーや検索に必要な機能を加えたCogmo Searchを使うと以下のようなことが実現できます。
既存マニュアルをAI文書検索で最大活用してノウハウの継承
課題:マニュアルを作っても、マニュアルだけでは若手が業務理解が進まない
解決策:最適な該当ページを検索結果で提示する
マニュアル丁寧に作成し、社内ポータルやイントラにおいても、なかなか業務理解が進まないというお困りごとは多いと思います。マニュアルを利活用するよう周知するなどの丁寧な対応も必要ですが、根本的な課題は以下です。
- 根本課題1:キーワードで検索するとたくさんページがひっかかる
- 根本課題2:キーワードを知らない
根本課題1:キーワードで検索するとたくさんページがひっかかる
まず、課題1の「キーワードで検索するとたくさんページがひっかかる」についてです。
マニュアルやFAQでは、どうしても同じ単語がたくさんのページに出てきます。そして、PDFファイルやWordファイルの検索機能は、単語でしか検索できないので、調べたいことがあったら自分が知りたい内容に関するキーワードで検索することになります。結果、色々なページが検索でヒットし、ひとつひとつページを確認して自分の知りたいことを探すという、みなさんも経験のある、しんどいことをしないといけません。
これでは調べる時間もかかり、諦め、人に聞く。でも、リモートワークだと質問もしづらくノウハウが継承できない、ということになります。
解決のためには、どのページが最適化を提示してあげる必要があります。Cogmo Searchではそれが可能です。1ファイル100ページのPDFマニュアルでも、20ページ目が最適と判断したら、検索結果には、20ページ目の内容を提示、リンクをクリックしたら20ページ目が開いた状態で開けます(もちろん、スクロールすれば他のページも確認できます)。
実際の事例では、5000ページの業務マニュアルが必要な部門の質問対応時間の削減や、業務精度の向上に成功しています。他にも、BtoBメーカーの製品保守問い合わせで、何万ページにも及ぶ製品マニュアルから最適なページを提示し、コールセンタに電話が来る手前でのお客様の自己解決を図ろうとしている企業が複数いらっしゃいます。
根本課題2:キーワードを知らない
次に、課題2の「キーワードを知らない」です。業務が出来る人、FAQサイトで自己解決するお客様は困っていることをどう検索したら良いかというリテラシーがあります。知りたいことをキーワード化できる、という能力です。これが出来ない人は、マニュアルやFAQページをたくさん読む必要があり、結果、諦めて電話や問い合わせが来たりします。
解決のためには、知りたいことや困っていることをそのまま文章で検索できる必要があります。加えて、それらの文章にはキーワードが入ってないので、従来の単語マッチの検索ではヒットしません。そこで、AIの学習機能によってキーワードがなくてもきちんと検索できるようにする必要があります。例えば、保険の問い合わせで、「年末に会社に提出するやつをなくした」という問い合わせは、「保険の控除はがきの再発行」の問い合わせになります。ただ、質問には、「控除はがき」「再発行」などは入っていませんので、そのまま検索してもマニュアルやFAQはヒットしません。これを、「年末に会社に提出するやつをなくした」は「控除はがき 再発行」と同じような検索であることをAIに学習させることで検索できるようにします(これが、人間の知識のシステム化AI化ですね)。
Cogmo Searchでは、その学習が可能で、この機能も活かして先ほどのような導入事例があります。
コールセンタのFAQシステムをAI検索でモダンにする
課題:コールセンタで利用しているFAQシステムが製品が増えて使いにくくなった
解決策:FAQシステムとFAQページは残して、文章検索できるようにする
FAQシステムは便利ですが、製品やサービスが増え、FAQが膨大になってくると該当のFAQページを上手く探せなくなったりします。カテゴリが増え、リンクでたどることが難しくなる。検索しても同じような単語がどこにもあるので、検索結果から探しきれない。などの理由からになりますね。
このような場合は、FAQシステムを刷新するのは大きな影響がでる作業になるので、FAQシステムをAI検索でラッピングする形で解決します。AI検索を実装した新しいFAQトップを作成し、そこからFAQを検索できるようにすることで膨大な情報から検索できるようにします。
例えば、コールセンタではお客様からのお電話内容から、FAQを検索するための検索単語に変換するのがオペレータのスキルのひとつになります。この変換を上手に行える人がベテランになりますが、前述したように、この「問い合わせ内容文章」から「検索単語の紐付け」に相当することをAI学習機能に担わせることで検索が出来るようになります。悩み必要なく、質問文・問い合わせ文を検索窓にいれるだけで最適なFAQページを見つけられます。
加えて、お客様の電話内容をAI音声認識でテキスト化すれば、そのテキストを利用して検索することもできます。オペレータがキーボードで文章を入力する必要がなくなり、お電話内容への集中や、入力時間の短縮による回答提示のスピードアップで、顧客対応品質があがることも期待できます。
Cogmo Searchでは、音声認識と連携した検索も可能でFAQシステムやFAQサイトをCogmo Searchでラッピングした事例も多くあります。
レガシーなシステムを活かしたモダンシステム化も
この他、最近では、FAQサイトをCogmo Search/IBM Watson DiscoveryのAI文書検索機能でラッピングし、FAQサイトトップにAI検索の検索窓を入れるだけではなく、AIチャットボットの中でFAQをAI検索して回答するというような、モダン検索の事例も増えています。
どこかで、レガシーなシステムを捨てずに再活用するために、AI自動応答やAI検索ができることなどをお伝えできればと思います。