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検索でお悩みで、AI検索を導入しようとしている時にまず読んでもらいたいこと

目次

IBM Championの西原です。
少し前の記事にも書きましたが、AI検索・AI文書検索のご相談がまた増えてきました。
お客様向けの製品マニュアルや従業員向けの業務マニュアル、ITヘルプのマニュアルをAI検索・AI文書検索で活用できるようしたい、コールセンタのオペレータが利用するFAQをどのオペレータでも検索しやすいようにしたいなどのご依頼です。

前回は導入できる箇所でのご案内でしたが、AI検索が解決策として有効なものを整理してみたいと思います。

「あいまい検索」や「学習機能」が欲しくてAI検索を求めるのは辞めた方が良い

AI検索が有効なものをお伝えする前に少しだけ。
最初からAI検索を否定するようですが、「あいまい検索」や「学習機能」を求めてAI検索を導入するのは辞めた方が良いです。これは、AI検索が使えないということではありません。ちゃんと使えますし、精度も業務で十分に使えるレベルになっています。

それよりもまずは、なぜ今の検索機能を変えたいのかの課題、不具合を見つめることが大切です。そして、それにあうAI検索の導入方法をパートナーと相談した方が結果がでます。
同じAI検索でも、マニュアルを検索するのか、FAQページを検索するのかでは、最終的に実現するUI(インタフェイス・検索の仕方、設置方法など)が異なります。

ツールの選定ではみなさんのお悩みは解決しません。
「マニュアルが増えて、キーワード検索では検索できなくなった。AI検索などで解決できないか」とベンダーやシステム会社に相談すればきちんと回答が返ってくると思います。

AI検索が効く:キーワードで検索できない

Webサイトやイントラサイト、FAQサイト、あるいは、PDFファイル検索など色々なところに検索機能はあります。
日々、検索をしないということはまずないと思います。

ところで、キーワードひとつで検索する、あるいは、複数のキーワードで検索しても検索結果が思わしくないことはありませんか。特にPDFファイルやWordファイルなどは、標準の検索機能では複数キーワード検索ができないので困りますね。
マニュアルはきちんと作られているのに、検索が機能しないから業務効率があがらない、ノウハウが継承できない、問合せが来る。製品マニュアルやFAQを見ればお客様で自己解決できるだろうお問合せが続く、ということになります。

そのような検索の改善にAI検索を活用して行くのは有効です。

例えば、

  • メーカーの製品情報サイト
  • 製品や商品のマニュアル
  • 業務マニュアル

などでのAI検索の活用が進んでいます。

キーワード検索がしづらい:キーワードが色々なページにあるから

なぜキーワード検索で検索がしづらいのでしょうか。いくつか理由はありますが、そのひとつが、どのページにも検索されたキーワードがあるので、本来は関係のない検索結果もたくさん出てしまうからです。

多数の製品、同じような製品でも細かい機種を持っているような製品ページで、製品情報やFAQ、保守サポート情報を調べることを考えてみましょう。
何か製品から「異音」がして検索をしてみるとします。

検索ワードを「異音」だけで検索します。すると、さまざまな製品の「異音」に関するページがヒットしてしまいます。これを絞り込む為に、「製品名」や「シリーズ名」なども入れて検索すると、検索結果が絞り込まれて正しい情報を見ることが出来ます。

これはAI検索でなくてもできる検索です。

では、少し視点を変えて、業務マニュアルでは同じようなことができるか考えます。そうすると、以下2点で課題があります。

    1. 文書の内容が構造化できるものではない
    2. 業務マニュアルはPDFで出来ており、複数キーワード検索できない
2のPDFでの複数キーワード検索は、Acrobatの「高度な検索」を利用するとPDFファイル内を複数のキーワード、つまり、「単語 単語」で検索することができます(ご存知でした?)。
ただ、Acrobatの配布や従業員のスキルを上げる必要があり、従業員の誰もがすぐに検索出来るようになりません。

構造化されてないことは、人の検索ワードが揺れてしまう課題が大きい

1の構造化できるものではないということについては色々な課題があります。
先ほどの「異音」の検索は構造化されています。構造化とは、大分類の「製品」、中分類の「シリーズ」と、ツリー型になっているということです。このような場合は、製品ページも、FAQページもマニュアルもその形で整理されており、「製品名 シリーズ名 異音」としても検索はできます。

一方、業務の場合は、「●●の時」「■■の場合」など、状況や条件などを検索ワードにして検索します。
例えば、「在宅勤務 長時間休憩 勤怠申請」というような検索です。「勤怠申請の方法」がユーザが知りたいことですが、「在宅勤務である時」に、「イレギュラーの長時間の休憩をしたい」という条件や状況がついています。

このような条件や状況などが含まれた検索は、「構造化しにくく、されていない」ということと、「構造化しにくいものは、検索キーワードが揺れる」ということに課題があります。

条件や状況は、製品分類などとは異なり、構造化しにくい、全てを網羅したツリー型にはならない、ということはご理解いただけると思います。「構造化しにくいこと」が検索に与える影響はあまり大きくないので説明は省きます。それよりも「構造化しにくいものは、検索キーワードが揺れる」、つまり、「状況」や「条件」などの検索ワードは揺れやすいことに注目してみましょう。

例えば、「製品名 シリーズ名」の検索では、製品名のスペルミスや全角半角、略語などを吸収すれば十分に検索が可能です。
一方、「在宅勤務」は「家で仕事時」「リモート勤務」「在宅の時」、「長時間休憩」は「お昼に少し外す」「午後に用事がある」などさまざまな入力が考えられます。
これらを「在宅勤務=在宅の時=家で仕事」などと類義語で回避することはとても困難です。それよりはAIによる揺らぎ吸収の方が融通が利き機能します。

また、「異音」の検索例についても、実は製品名などによる絞り込みだけではなく、「朝のライン立ち上げ時に」などの状況がセットになって検索されることもあります。業務マニュアルだけではなく、製品情報でも構造化された絞り込みだけではなく「状況」や「条件」によって絞り込み検索されるので、AI検索はとても有効です。

AI検索が効く:適切な検索キーワードが浮かばない

検索では検索キーワードを思いつけるか、という課題もあります。
自分が知りたいことを検索出来るキーワードに変換できない。
自分が思っている言葉の変換とページに書いてある単語が違って検索出来ない。
このようなことは多々あると思います。

社内で言えば、若手は業務の基礎などがまだまだ足りず、どんな単語で検索していいかわかりません。故に、マニュアルを自ら活用して自走できず、ナレッジマネジメントやノウハウ継承の課題となります。

社外で言えば、お客様が少し複雑な課題で悩んでいる場合は、文章として書けば相談はできるが、どんな単語で検索すればよいかわかりません。
製品ページやFAQ、マニュアルをちゃんと準備し、Webサイトのコンテンツのリニューアルなども行い、それらを検索する検索機能も入れているのに、お客様が検索では自己解決できず、問合せが来ます。結果、顧客満足度にも影響します。

もう少し深掘りすると、例えば、金融業界、建設業界、不動産業界、医療・製薬業界などは、法律で商品や製品に関する表記が厳しく定められています。命に関わることや、財産に関わることなので表記が決められていることは国民全体に取っては良いことですが、いざ、必要な時に調べよう、検索しようとすると不具合が出てきます。

サプリメントなどのページがあったとします。法律がありますので、有効な成分が入っているか・入っていないかしか表記できません。
一方、人は、成分が入っているかどうかではなく、「眠くならないか」などが知りたいことになります。検索では「製品名 眠くならない」などで検索してしまいます。「製品名 眠くなる成分 分量」などの検索キーワードをすぐに思いついて検索はしないですよね。

他にも言葉自体が新しいと正しくない単語で検索してしまいます。

例えば、コロナワクチンの接種券です。
「ワクチン 予約券」というような検索をされることがあります。なかなか予約が取れないという社会情勢では、予約したいという背景があるので「接種券」が「予約券」になるのはよくわかります。
言葉が人々に浸透すると自然と「接種券」と検索するようになるでしょう。ただ、このように新しい言葉の使い方が出てきた場合は、正しい検索ワードを使うこと自体が難しいのです。

これらを解決するには、「接種券=予約券」や「眠くならない=眠くなる成分」などと類義語を設定することでも解決しますが、類義語の設定数を考えると融通の利くAIの揺らぎ機能が設定や運用の負担も少なく効率的なのです。

「検索出来るワードに変換しづらい」質問は質問文をそのまま検索に使うことで回避も

検索出来るワードに変換しづらいことは、「キーワードに変換することなく」、「知りたいことをそのまま文章で書いてもらって検索する」ことでも解決します。

「コロナワクチンの予約券はいつ届くのか」という疑問を人は「コロナワクチン 予約券 発送」や「コロナワクチン 予約券 時期」などで検索します。
「いつ届くのか」という質問はキーワードには変換しづらいですよね。みなさんも経験があると思います。
それであれば、「コロナワクチンの予約券はいつ届くのか」という文章で検索出来るようにすることで解決できます。業務マニュアルや従業員の質問でも、「在宅勤務でお昼に用事で外したいけど、その申請はどうやるのか」と聞けた方が便利です。

AI検索は文章で検索されても、検索が可能です。
検索はキーワードでするものとユーザは思っているので、文章で検索できることを周知する必要はありますが、使い方が広がればお客様の自己解決率があがったり社内のナレッジマネジメントが進んだり、デジタルワークシフトが進んだりすることになります。

文章で検索できるということは、話し言葉、音声入力でも検索できます。
お客様の電話内容からオペレータが回答すべきFAQを自動で検索する。デスクワークではない外の現場でスマートフォンの音声認識で知りたいことを話すと、最適なマニュアルが検索できる。
いずれもキーボード操作がいらないことで、本来の電話応対や現場対応を邪魔しないこともメリットとしてあります。

さて、AI検索・AI文書検索が有効なものということで、以上のような形で、まとめてきましたが、

  • キーワード検索がしづらい
  • 複数キーワード検索ができない
  • キーワードに変換しづらい
という課題があり
  • キーワードをAIの融通の利く揺らぎで吸収する
  • 文章で検索してもらう
  • 話し言葉をそのまま使う
などで解決することが可能です。

また、一般的な検索窓で検索させるのではなく、音声認識から自動で検索したり、チャットボットの中で検索させたりなど、最適なUIも取り入れることでより課題解決を進めることもできます。

AI検索・AI文書検索のご相談が増えてきたのは、DXやデジタル化でのツール導入が進み、製品カタログ、FAQ、マニュアルなどの情報資産をより活かして行きたいという思いからだと考えています。
アイアクトの人工知能・コグニティブソリューション部では、Watson DiscoveryCogmo Searchを利用したお客様毎の検索ツール開発のご相談も可能ですので、ご興味あればお気軽にご相談ください。

 


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