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IBM Champion 2022(Data & AI)に認定されました

目次

株式会社アイアクトで人工知能・コグニティブソリューション部の責任者を務めている西原です。
このたび、IBM Champion for 2022にData & AIで認定されました。

IBM Championについて(IBM社のページより引用)
IBM Champions demonstrate practical expertise in IBM technologies while providing extraordinary support and advocacy in IBM digital and local communities.

The IBM Champions program recognizes these innovative thought leaders in the technical community and rewards their contributions by amplifying their voice and increasing their sphere of influence. IBM Champions are enthusiasts and advocates: IT professionals, business leaders, developers, executives, educators, and influencers who support and mentor others to help them get the most out of IBM software, solutions, and services.

IBM Champions are not employees of IBM.

認定については、AI事業へのチャレンジを与えてくれた博展グループのみなさま、初めての会社でも信頼して任せて頂いた日本IBM社のWatson事業部のみなさま、Web制作会社の中で異例の事業を認め、見守ってくれたアイアクトのみなさま。
そして、この6年、私のわがままにとてつもないスピード感と、クオリティで付いてきてくれた部のみんなのおかげです。
本当にありがとうございます。

認定されたことで、改めて気持ちを引き締め、Cogmo Attend、Cogmo Search、その他Cogmoシリーズの提供だけではなく、AIやWatsonテクノロジーの開発者への普及と企業への普及をより行っていき、テクノロジーとそれを扱える人による社会や企業や人の課題解決に貢献していきたいと思います。

個人的には

  • 学校でのハンズオンの開催
  • システム開発会社ではなくWeb制作会社のみなさまへのWatsonを利用したチャットボット、検索システム構築ノウハウの提供
  • 企業内のDX人材育成プログラムへの参加

の3点を2022年で行えればと思っています。
ご相談ございましたら、下部のお問合せ、右上のお問合せよりご連絡ください。

ところで、良い機会なのでWatson、AIに取り組んだこの6年で行ったことや市場動向(あくまでも弊社にくるご相談ベースですが)をまとめてみたいと思います。DXやAIで、企業や人が何を解決していきたいのかが少しでも見えてくれば何よりです。

2016年3-7月:会話ロボットを作っていた


 この期間でやっていたこと:

 - 会話ロボットの製造
 - Watson NLC
 - Watson Dialog



当時、同じ博展グループだったタケロボさんの会話ロボットを製造することに。
依頼は3月末。会話ロボットが設置されるテーマパークのイベントオープンは7月中旬。1ヵ月前に現地納品でテスト。
要は3ヵ月以内で作るという、なんともハードなスケジュールです。

会話エンジンに使うのは、Watson。
2016年3月は、日本語版のWatsonが出て1ヵ月程度。日本IBM社の中でも、東京基礎研究所(研究開発のトップ)の方や一部のエヴァンジェリストでしか扱えないような状態でした。
そんな中、期末の3月31日、4月1日の2日間、日本IBM社に缶詰で、「Watson NLC」「Watson Dialog」をインプット。また、できたての複数のロボットをコントロールする共通基盤ソフトウェアも詰め込み。
ハードウェアの経験もあるエンジニア、自然言語処理に明るいSEたちがチームにいたからこそ乗り越えられた詰め込みでしたし、このチームだから3ヵ月を短縮し2.5ヵ月で作りきれたのだと思います。

この開発で得られたこと、やったことは次のようなことです。

  • 1週単位のスプリントで作る
  • 音声認識のノイズ処理(テーマパークの騒音の中で声を拾う。MK電子さま、ありがとうございました。)
  • ソフトウェア処理でかかる時間(遅延時間)を会話としてストレスないようするデザイン(見た目のデザイン、話している時のデザイン、会話を開始する前のセンサリングと事前処理etc)
  • Watson NLC(Natural Language Classifier)
  • Watson Dialog
  • AI Talk(発話エンジン)


この後、Sotaのカスタマイズやオリジナルロボットの製造依頼などのお話がありましたが、どれもお話だけで終わりました。流行であったこともあるのでしょう、動くモノを作っても、本番実装するということまで行きませんでした。
動いたら満足されて、そもそも何かの課題をこのソリューションで解決したいということではなかったのが大きいのだと思います。

2016年8月-2017年12月:製品開発と先駆的なAI導入の支援


 この期間でやっていたこと:

 - AI自動応答・チャットボット製品の製造
 - AI文書検索・ファイル検索製品の製造
 - Watson Assistantを利用したAI自動応答・チャットボットの導入
 - Watson R&R(Retrieve and Rank。現Watson Discovery)を利用したAI文書検索・ファイル検索の導入
 - Watson Assistant、Watson R&Rを利用したオリジナルシステム開発



会話ロボット製造からスタートした事業でしたが、2016年12月からはソフトウェアのみに絞りました。理由は会話ロボットに対する誤解と期待値がありすぎたこと。数年かけてというスパンで事業を立ち上げるのであれば別ですが、Web制作会社の一事業としては数年は待てません。残念ながら諦めました。

会話ロボットは十分機能するテクノロジーは出来ていますが、以下が課題です。
・物理的なキャラクターとして存在すると、人は人と話すように会話してしまう

そのロボットが答えられる(学習済み)範疇であれば機能するのに、なんでも聞いてしまうということです。もちろん、すべての会話を学習させれば済むのですが、まぁ、それは国家予算でもついてくれない限りイマは無理です。

親近感のあるキャラクターでありつつも、ある範疇で限定的に機能するロボットであるということをデザインできれば、良いのだと思います。その意味では、プログラマやシステム開発会社ではなく、UIやUXなどのデザインを行える人や企業が参入してくれば面白くなりますね。

さて、ソフトウェアに集中してからは、自社製品(AIチャットボット・自動応答『Cogmo Attend』AI文書検索・ファイル検索『Cogmo Search』)の開発、2製品の導入支援、Watson Assistant、Watson R&R(現Watson Discovery)を利用したオリジナルシステムの開発を行っていました。

製品以外での個別のご相談では、
・ECモール企業最大手のFAQのチャットボット化
・鉄道会社のコールセンタシステム(音声認識、AIでのマニュアル検索)
・ハウスメーカーの営業スクリプト推奨システムPoC(音声認識、会話フロー)
・嗜好品メーカーの公式LINE自動応答システムの導入・運用
などでは、さまざまな経験を私もチームもさせていただきました。

この時期は、先駆的な取組をすると判断をした経営者のいる企業、いわゆるガジェット好きな担当者がDXを推進している企業でのPoCやそこからの本導入が多い時期でした。
 

2018年から現在:自動応答の導入支援、検索機能の導入支援


 この期間でやっていること:

 - AI自動応答・チャットボット製品の連携製品ソリューション開発
 - Watson Assistantを利用したAI自動応答・チャットボットの導入
 - AI自動応答とAI文書検索を連携させた製品の導入
 - AI自動応答・チャットボットとRPAとの連携
 - 企業内研修支援



2018年からは、自動応答・チャットボットの企業への導入が本格化した時期でした。
ITヘルプ、総務問合せ、人事問合せなどの社内での活用が中心。単純な自動応答以外にも、業務マニュアルにある数千問のFAQを組み込んだり、社内向けではなく生保の契約者向けチャットボットなどもありました。
AI文書検索では製薬会社のサイト内検索など、検索される文章とWebページに書いてある文章が(法律的に)異なるようなWebサイトへの導入が進みました。

この期間、人事問合せや総務問合せに絞って学習済みのチャットボットに移行する製品などもありましたが、私たちはその選択はせず、どんな会話でも実装できる製品のポリシーを変えませんでした。
代わりに、効率的な構築・学習方法を作り上げ体系化し、スピーディに、かつ、コストも抑えてサービスをご提供できるように。いまでは1000問を超えるモノでも2ヵ月程度で納品できます。

また自動応答だけ、検索だけという導入ではなく、自動応答に検索を連携させる導入が出てきたのがこの時期です。
自動応答は、入力すればピンポイントに答えがダイレクトに返ってくるのが良いところです。一部には質問をすると選択肢が必ず出てきてしまうものもありますが、なるべくすぐに回答を与えることが大切です。
一方で、FAQ数が多くなると、構築や運用で負担が上がる、精度を保つのに苦労する時期があります。また、マニュアルやFAQページはすでにあったりするので、複数のFAQコンテンツや資産が各所に出来ることになります。
それを解決する方法として、チャットボットでマニュアルやFAQページを検索する方法が求められ出しました。私たちも2018年には、NASや社内ファイルサーバのファイル検索をチャットボットで出来る製品などをリリース。システム問合せ200-300問は自動応答で返答しながら、それ以外は、システムのマニュアルを検索するなどでご利用頂きました。

その後、マニュアルファイルを検索ではなく、マニュアルの最適なページを検索したいというニーズも高まり、Cogmo Searchをバージョンアップし、Cogmo Attendのチャットボットインタフェイスでマニュアル内の最適な1ページを検索できる製品をリリース。業務マニュアルが5000ページに上る関西電力様(現・関西電力送配電様)を始め、メーカー、放送、保険、インフラなどの企業様でご利用いただいています。

自動応答のために別のFAQシステムを構築するのではなく、既存のIT・デジタル資産を有効活用していく。それをチャットボットのインタフェイスひとつで実現していく。
イマでは当たり前になってきたこの使い方が出てきて、導入効果を大きくあげた例が出てきたのがこの時期でした。


関連実績:関西電力株式会社、社内業務で初採用 アイアクトのAIチャットボット『コグモ・アテンド』利用で、業務効率化を実現


2020年から現在:自動応答の拡張


 この期間でやっていること:

 - ビジネスチャットへの自動応答の組み込み
 - 自動応答・チャットボットではなく、「応答を返す」ことを活かしたPoC
 - 保険加入判断など単純応答以外への自動応答の導入
 - 引き続きAI自動応答とAI文書検索を連携させた製品の導



2020年以降は、コロナ禍ということもあり、社内コミュニケーションがTeamsやSlackなどのビジネスチャットへ移行しました。これに伴い、ビジネスチャットに自動応答・チャットボットを組み込む支援からスタートしました。過去の傾向からすれば、この流れは検索結果も組み込んでいく流れになるのだと思います。

また、システム障害をPRAで検知し、その内容をビジネスチャットに通知。
同時に障害対応の過去知見をAI文書検索で提示。
人はその通知と知見を見て、ビジネスチャットからサーバの再起動などを指示すると、RPAを通して自動で再起動するというPoCを行いました。このような自動化を伴ったシステム構築やPoCが増えました。
用意したFAQを返す、という範疇に限ることなく、「応答:情報の提示と入力」と見ることで、「入力」が質問だけではなく「指示・依頼」でも使える。「情報」は聞かれたら答えるのではなく、必要なモノを表示すると捉えることで、入力を待たず何かがあったら通知するでも使える。この柔軟な発想をすることで、FAQを答えるという範疇を大きく超え、「応答を返す」ことを「各種情報のやりとりエンジン」として各種システムや業務に活かす企業が増えています。

その他、FAQ回答ではなく保険の加入判断に自動応答・チャットボットを使うなど業務のコアな箇所で利用するシステムの支援が増えました。単純なFAQ回答で利用するシステムから業務で利用するコアシステムへ位置づけが変わってきたのが2020年から続く流れです。私たちもこれに伴い、FAQを学習させるというだけではなく、業務でどう使っていくのかという事に対するコンサルティングやデザイン支援や、大きなプロジェクトになるためプロジェクトマネージメント支援にも取り組んでいます。


関連情報:障害対応をAIチャットボットで効率化


2021年8月から:AI文書検索機能の再活用、AI自動応答の効率的な多展開


 この期間でやっていること:

 - AI自動応答+AI文書検索+有人チャット
 - コールセンタのコンタクトセンタ化
 - 音声認識+検索
 - ひとつのAIモデルで複数チャットボット(ホテルなど)
 - ひとつのAIモデルと翻訳機能を連携した多言語対応



昨年の夏、21年8月くらいからは、違う市場からのご相談と、AI自動応答・チャットボットのさらなる活用のご相談が増えました。

まずコンタクトセンタ化やコールセンタの業務効率化でのご相談が増えました。コロナ禍でのオペレータの働き方の見直しや、すでに始まっている労働人口の減少から、電話での応対をメールやチャットなどでの応対に変え、一人のオペレータのリアルタイム対応数や総対応数を増やし、オペレータの数を減らしていこうという取組です。

有人チャット機能を入れれば、オペレータとお客様がチャットで会話をすることができます。
これに、AI自動応答とAI文書検索を連携させれば、オペレータにエスカレーションされる前に、AIによる自動応答で回答を得てユーザ自身で解決してもらう、AI文書検索でマニュアルやFAQを提示してユーザ自身で情報を見て解決してもらうことができます。
オペレータの負荷を減らすためにも、また、即座に回答が得られるユーザメリットからも、AI自動応答+AI文書検索+有人チャットというソリューションが求められています。
そのような中で、自動応答、文書検索、有人チャットをワンストップで提供でき、かつ、新しい取組をスピーディーにPoCで評価し改善していく導入支援が可能なことを評価頂いています。

また、オペレータのスキル標準化や教育コスト削減でのご依頼も増えています。
例えば、オペレータとお客様の電話内容をリアルタイムで音声認識しテキスト文章に変換します。そのテキスト文章を利用して、オペレータはキーボードで検索文を入力することなく、自動でAI検索されたFAQを参照し、お客様の対応を行いたいなどのご依頼も増え出しました。
4、5年前に先駆的な企業が取り組んでいたシステム導入を、いま、多くの企業が本導入する時期に来ています。

このように検索を活かしたご相談が増えていますが、自動応答でも同じ応答システムを効率的にグループ展開する(複数のチャットボットをひとつのAIで実現する)、ひとつの日本語の自動応答を作り、それを翻訳機能を使って、多言語展開するなどのご相談も増えてきました。
ひとつのAI資産を活かして多展開する、さまざまな業務に適応するなど、事業や業務への浸透と、コアシステムへの移行が自動応答では見られています。

この期間、私たちは、1ヵ月程度で機能追加できるCogmoシリーズの拡張性を活かして、さまざまなPoCを実施して頂いています。また、電話からチャットへという業務フロー変更などのご支援を行っています。少しコンサルよりの役割も増えているように感じます。

振り返ればこの5年は、AIを育てられること、効率よく学習できること、多様な使い方ができる製品をベースに、アジャイルでのPoC伴走、ウォーターフォールでのプロジェクト支援など、ご依頼によって使い分けながら、より高度なAI導入、活用支援を継続して行っています。ご依頼内容や規模などが変わってきたのに耐えられるのは、チームのノウハウの高さと製品ポリシーのおかげだと感じます。

さて、私とチームが過ごしてきた6年を大まかに分類してまとめてみました。
AI導入やDXを進めたい他の企業がどのようなことを行っているか、私たちができることなどを少しでも掴めて頂けましたでしょうか。

最後に、私ができること、私たちのチームができることをまとめておきます。
お困りごとあれば、小さな事からでも結構ですので、ご連絡くださいませ。


西原中也(IBM Champion 2022 Data & AI)ができること
  • AI自動応答・チャットボットの導入(PM、構築)
  • AI文書検索の導入(PM、構築)
  • AIシステム導入、DXのコンサルティング、PoC伴走
  • AIを利用したシステムのアジャイル開発PM
  • ウォーターフォールのシステム開発PM
  • Watson Assistantハンズオン、レクチャー
  • Watson Discoveryハンズオン、レクチャー
  • Watson Explorerでの自然言語解析

人工知能・コグニティブソリューション部でできること
  • AI自動応答・チャットボットの導入と運用代行
  • AI文書検索の導入と運用代行
  • AI PoCの伴走、開発、学習
  • AIを利用したシステムのアジャイル開発(特に言語系。数値画像も可能)
  • Watson Assistantハンズオン、レクチャー
  • Watson Discoveryハンズオン、レクチャー
  • Cogmoシリーズをベースにした機能拡張製品の提供



ご相談先:IBM Championの西原へのご相談、AI導入支援に関するご相談