よくある質問に関しても、日本語・英語ともに増えていたため、対応業務の効率化を検討され、AIチャットボット「Cogmo Attend」導入を決定された三井不動産ホテルマネジメント様。
お客様から寄せられる英文メール内容の解析から検討を重ね、チャットボットに登録するFAQを作成しました。
「電話問い合わせで受ける内容とは少し違っていて、軽微なご質問を気軽に聞いていただけている様子です。
セルフサービスで即レスポンスを求める方にとっては、一定の効果があります。また、日本よりも海外ゲストのほうがチャットボットを利用することに慣れていらっしゃるように感じます」と佐々木様。
より身近で使いやすく、どんな時間帯でも即解決へ導くツールの導入は、ホテル側の業務効率化を担うだけではなく、お客様が短時間で自己解決する手段として活きています。
チャットボット運用を担当する田代様から何を最優先しているかお話いただきました。「情報が次々と変わる中、情報鮮度を保つことを一番に心掛けていますので、そこは安心してご利用いただけているようです。FAQ案内とチャットボット対応、お客様の課題解決を助けるには、どちらも一長一短があり、なるべく幅をもたせた構成にしてお客様の知りたい情報を載せています。ログを確認してみると、その施策が概ね当たっているようです」
情報鮮度の高さによってユーザーの信頼度が増し、利用価値のあるチャットボットに成長。このサイクルを考慮した運用が、お客様満足度を向上させるためのひとつの効果となっているようです。
チャットボットはある程度の範囲で納得いただけるところを目指しながらも、ホテルのフロントでこれを聞かれたらこれを答える、というホテルマンのような対応を理想とされています。
導入当初からチャットボットの正答率は8割近く。精度としては悪くはない状況でしたが、提示している回答が、お客様が「本当に知りたいこと」とは微妙にずれている気がしたそうです。「会話ログを確認すると、質問の真意をキャッチしきれていないところも幾つか見えてきて、同分類のQAを整理するなど工夫し、現在の正答率は9割程度まで上がっています」
また、ログを確認するのは”面白い”とも表現される田代様。
「会話ログの中で”なぜ?”という履歴に対しては、行動遷移まで見ていきます。そうすることで、同じような質問を何度もリピートしているお客様がいらっしゃると、イライラさせてしまっているかも?、聞き方を迷っていらっしゃるかも?と、視点を変えて真のお困りごとを推察、改良案を検討して改善していきます。その結果、会話ログの”なぜ?”が少なくなってきました」とのこと。
お客様目線で疑問解決することを心掛けた改善を行うことで、迷わせる動線をなくしていく。運用ノウハウも培われていることがうかがえます。
その他にもログからわかる事象があるそうです。翌日の朝食変更やレイトチェックアウトの希望など、ホテル滞在中のお客様からのご利用もあること、夜間のチャットボット起動が多いことから、ホテル側の人員体制が減る時間帯のフォローに直接つながっているということです。
ホテルではお客様に聞かれた際、全ての情報を掲載したものをお見せして、「こちらをご覧ください」で終わることはありません。AIチャットボットにおいても、聞かれたことにはまずきちんと答えてから、次に「これですよ」と見せてあげる、段階を設けた回答をされています。
「あるホテルの駐車場について、回答内容に全て必要な情報を載せているのに、お客様が何度も言い方を変えて聞いてきたことがありました」 田代様は、この件から該当ホテルの責任者に尋ね、ご案内の仕方について確認されました。
「やはりご案内のニュアンスが違っていました。必要な部分を段階的に出していくことですっきりしました。一回でさらっと回答するのではなく、会話のやりとりが必要なのです。聞きたいことのストライクゾーンをぐっと拡げて、どの球がきても大丈夫に。言葉の順番を変えたり、表にしてみたり、質問したお客様が納得しやすいものを常に考えています」
他にも、朝食の内容について、事業所と何度も調整するなど、質問についてホテルではどのような案内をしているのか、ニュアンスを掴むことを重要視し、丁寧に説明すべきところ、簡易に表現するもの、現場の状況に合わせた変化をつけられました。
チャットボットをただの情報提供ツールとせず、会話のやりとりをさせること、それがスムーズに実現出来ること、またその効果や価値についても納得されていらっしゃるようです。
コロナ禍によりホテル利用者数が全体的に減少していたこの数年、その間は、各ホテルのチャットボット導入を着実にすすめられてきました。そして現在、海外旅行者も増加し、全国旅行支援の開始と、これからが本領発揮となりそうです。
「おかげさまで、コール数・予約数も増えています。ホテル側での電話問い合わせも、現在は全てを取り切れない状況です。複数チャネルの全体量が増えていますが、チャットボットのコール数は10%以上増えているので、電話が繋がらない方のフォローとしても使われているようです」
チャットボットを導入しても、明らかに電話量が減ることはなくても、Eメールなど他のテキストコミュニケーションからの問い合わせは一定数減少しているそうです。
また、数年前と比較をすると、電話での宿泊予約が8割だったのに対して、現在は電話予約も減少。客層の変化も理由のひとつに挙げられており、デジタルネイティブと呼ばれる比較的若い方のご利用が増えたことにより、インターネットを中心にコミュニケーションの手段が変わってきているとのこと。
まさに、手軽なツールがあれば自己解決したい層へのアプローチに成功されています。
「優れた情報収集」という鳥言葉を持つ鳥類の一種キビタキをモチーフにした三井不動産ホテルマネジメントの動くオリジナルキャラクター「きびきび太(愛称:きび太)」
「今よりもっと、チャットボットで出来ることがあると思っています。言葉の紡ぎ方で、ホテルのおもてなしを表現し、対話を重ねることでの課題解決が可能なことが分かりました。公式サイトも、見慣れた方はよいですが、初見の方には情報の在りかが分かりづらい場合もあります。どこにどの情報があるのかを知らせるナビゲーションの役割も果たしてくれています。AIチャットボットだからこそ実現できた対応があります」
と、チャットボットならではの表現方法を習得され、更なる高みを目指されるご担当者様。
現在は、登録済みのQA内容でも、フォームで問い合わせられる場合もあり、公式Webサイトの動線見直しも検討中、なるべくチャットボットの利用で即解決へ導くことを計画されています。
また、2021年に会員制度を変更し、公式アプリをリリース、最近では、アプリのポイント制度や交換方法についてのお問合せも入り始めています。ホテルへの問い合わせとは別に、ボタン遷移でシナリオ設定をすることで関連性の高いFAQへ誘導する施策が効いているそうです。
チャットボットを運用するにあたり、「お客様とのタッチポイントを常に大切にしていきたいです。ヒューマンサービスではないところでも、ホスピタリティは非常に大事です。Digitalの文字であっても、お客様への心遣い、ホテルのスタッフがきちんと対応している感覚を持ち続けたいと思っています」
ホテルマンとしてDigitalで活躍するAIチャットボット、きび太くんはまだまだ成長しそうです。更なる顧客満足度の向上に邁進される三井不動産ホテルマネジメント様、私たちも引き続きご支援していきたいと思います。
三井不動産ホテルマネジメント 公式サイト